原宿のA.F GALLERYにて11月30日（火）まで個展「amour」を開催中のNahさん。力強い瞳と髪の毛先まで動きのある繊細なタッチ、ドリーミーな淡いカラーが特徴的なイラストには、彼女のこだわりでもある”ある共通点”が。表面的にかわいいだけではなく、そのさらに奥まで楽しみ愛せる作品の魅力に迫るべく、お話を伺いました。

個展のテーマを教えてください。

今回は“amour”、フランス語で「愛」をテーマに作品を展示しています。
私が愛を感じる表情やシーンを詰め込みました。
表面的な可愛さだけでなく、見て頂く方々の視点でさまざまな感じ方をしていただけたらとても嬉しいです。

イラストを描き始めたのはいつからですか。

小さい頃から絵を描くことはとても好きだったのですが、本格的に活動を始めたのは大学生の頃です。

きっかけは音楽活動をしている知人のグッズデザインを手伝ったこと。その時に私のイラストに対して良い反応を沢山頂けて、自分が良いと思って描いた物を私以外にも良いと思ってくれる人がこんなにいるんだと自信に繋がり、イラストをもっと沢山の人に見てもらいたいと思うようになりました。

今の作風になったのは、大学4年生のときに手作りで開催した初めての個展がターニングポイント。アーティストとして個展を開催したからには「この作風で続けていくぞ！」と心に決めた記憶があります。

ちょうどその時にどこで見かけても私の絵だと気づいてもらえるようにイラストの特徴を意識的に作りました。それが「斜線の入った太眉」と「白い瞳」、「そばかす」「ほくろ」です。
太眉やそばかす、ほくろは私の幼い頃のコンプレックスで、それらを組み込むことで私らしさを表現し、今日まで描き続けています。

何からインスピレーションを受けていますか。

よく聞かれるのですが、強く意識したことはなく、おそらく生活の中で少しずつ抽出しているんだと思います。私は昔のものから新しいものまでジャンル問わずアニメや漫画がとても好きですし、海や山、花や植物をみること、歌を歌うことや洋服や靴を集めることもとても好き。日々の中でそれらに触れている中で無意識にインスピレーションを受けているように思います。

イラストを描く中で、どの過程が一番楽しいですか。

髪の毛を描く過程が1番楽しいです。
動きを付けることでイラストの表情がガラッと変わりますし、束感を表情したり、実際には繋がっていない部分を繋がっているように表現したり、毛先に丸みを持たせてリアルにはない表現ができるところもイラストにしかない面白さだなと思っています。

自分のイラストでこだわっているポイントを教えてください。

人の強気な視線やいい意味で冷たい表情ってとても人を惹きつける力があるなと思っていて、そんな人物を私も描きたいという思いから、私のイラストの特徴の「白い瞳」が生まれています。瞳に何もうつさないからこそ自由で、見る人によってその奥底に強さやクールさを垣間見て熱を感じられるようにと瞳の表現にはとてもこだわっています。

また色使いも最近では「Nahちゃんカラー」なんて言ってもらえるようになりとても嬉しいのですが、元々私が淡い紫やターコイズブルーが好きで、好きな色を詰め込んでいたらいつのまにか色使いで強く印象を持っていただけるようになった感じです。
強いてこだわりを言うなら、主な色は3〜4色以内でまとめるようにしています。また、日頃から好きな色の組み合わせを見つけることが好きなので、それも自然と生かされていると思います。

描けない時やスランプに陥った時はどうしていますか。

基本的には完全に作業をストップして一度距離をとります。愛犬と遊んだり家族や友人と話したりして心をリセットすると、いつも気づいたら「よしやるか」となっていて、それの繰り返しです。

これから挑戦したいことや、やってみたい仕事はありますか。

広告や商品パッケージなど普段の生活の中で自然と目にする物のお仕事をやってみたいです。
また、挑戦と言う面ではもっと勉強して大きなアナログ作品を描いてみたいです。

個展は11月30日（火）まで開催中。
今回新たに描き下ろしたデジタル作品に加え、普段あまり公開することのないアナログ作品も見どころのひとつ。この機会をぜひお見逃しなく！