映画『シノノメ色の週末』公開記念! 桜井玲香・岡崎紗絵・三戸なつめスペシャルインタビュー

CULTURE / ART

三戸なつめさんが出演する映画『シノノメ色の週末』が11月5日(金)より全国公開する。女子校を卒業して10年、夢みていた未来とは違う毎日に、ついネガティブモードに落ち込んだりもする3人の同級生が、廃校の決まった母校で再会する。ここに来たら輝いていたあの頃に戻れるかもと浮かれる彼女たちに、青春のおかしくて切ないリアルが忍び寄る—— 今回は、三戸なつめとともに主人公・美玲を演じた俳優の桜井玲香、二人の友人・まりりん役の岡崎紗絵を迎えてスペシャルインタビューが実現。撮影現場の雰囲気から、自身の学生時代のエピソードまでガールズトークをお届けします!

 

 

— まず最初に、桜井さんは本作が映画初主演となるわけですが、撮影に対する心境などはいかがでしたか?

桜井 今回は初主演の作品ということで、とても嬉しくもあり、頑張らなきゃ!という思いで撮影に臨みましたが、お二人のおかげであまり気負いせず楽しく撮影することができました。この作品が初主演作品でよかったなとすごく思いました。

— 今回の役作りで意識された点などはありますか?

桜井 美玲は元々読者モデルをやっていたという役どころで、きっと自分にも自信があって、すごく芯の強い女の子だと思うんですけれど、あまり強いところだけが全面に出過ぎないようできるだけ嫌われない、みんなから愛されるような部分が出せたらいいなということを監督と話しながら美玲のキャラクター作りをしました。

— 岡崎さん、三戸さんはいかがでしたか?

岡崎 初めて台本を読ませていただいた時に、自分にあまり似ていると感じる部分があまりなくって、まりりんはすごくキャラクターはしっかり者で、部長を務めるくらいみんなを引っ張れる存在。私自身はそういう人間じゃないので、そんなまりりんに憧れも抱きつつ、自分とは違うなと感じる分、しっかり演じなきゃという思いはすごくありました。穐山監督にも相談して、物が斜めになったら真っ直ぐにしてみたりだとか、そういう細かい仕草などからきっちりとしたキャラクターを作るようにしましたね。

三戸 私自身とアンディはそこまでかけ離れていなかったので、ほとんど素に近い感じで演じさせていただきました。マリリンと美玲がときに衝突しちゃうようなポジションで、私は仲介役として二人の間に入る人で、ちょっとキャラクターっぽいというか、二人の癒しになるような存在になれればいいなということを思いながら演じました。

— 撮影現場での思い出はありますか?

桜井 校舎に忍び込むシーンで使用したドアが、本当に錆びていてすごく固かったんです。三人で本気でこじ開けて、中に入るために必死になったことがとても楽しかったです。

岡崎 私はやっぱりクライマックスの東雲色の空をみんなでみた時が思い出に残っていますね。本当に日が登る前から撮影していたので……。あれは朝何時からだったっけ?

三戸 めっちゃ早い、3時とかだったかな?もっと早いか。

岡崎 そのくらいの時間からで、なんだかちょっとハイになったテンションや朝日を迎えるあの感じがすごい楽しかったです。

三戸 私は校舎を三人で走った時がすごい楽しかったです。アンディが一番足が速いという設定だったんですけど、私自身はあまり学校とかでも速い方じゃなくって。大丈夫かなって思ったのですが、一生懸命走ったら想像以上に速く走れて、カメラさんも「追いつけない!」ってなったりとか。その後に別で息切れする声を取ったりとかしたんですけど、その状況もなんだかシュールで面白かったです。

— 実年齢はバラバラの3名が同級生役として共演されていますが、それぞれの印象や実際に共演されてみていかがでしたか?

三戸 私はあまり自分のことを30代だと思っていないというのもあるんですけど、年下の人と話すのがもともと苦じゃなかったから、なんかすんなり一番歳の離れている紗絵ちゃんと喋れましたね。紗絵ちゃんもすっごい気さくで装っていないし、本当に優しくていい子だなってすごい感じて、あまり歳の差を気にすることはなかった気がします。玲香ちゃんとは、一番最初に会ったのがスペースシャワーTVの番組。でも、その時は全然喋っていなくて、やっぱり乃木坂の印象が私は強かったから、キラキラしたアイドルみたいなイメージがありましたね。でも、この作品で一緒に過ごすうちに、意外とサバサバしているし、すごい話しやすいし、人間味のある人だなとすごく感じました。二人とも年下だけど、いい意味で全然年下っぽくないです。

桜井 三戸ちゃんはそれこそ元「乃木坂46」のメンバーだった若月佑美と舞台で共演していて、すごく仲が良いというお話を聞いていたので、初めからあまり遠い感じはしませんでした。

三戸 私もそうかも。若ちゃんがいたからそんなに遠い感じはしなかったね。

桜井 だから私の中でも早く打ち解けられたなという感じがします。紗絵ちゃんは初めましてだったのですが、一応年下という感じ(笑)。そんなの全然感じないし、紗絵ちゃんも人見知りな私にとっては珍しく、わーっと喋れる存在の人。たまに敬語を迷いながら使ってくるので、そういうところが「あ!年齢の違いがあったのか」と気がつく瞬間です。

岡崎 今回は3人が同級生という役柄ということもあり、あまり先輩を意識しすぎるとそういう空気や距離感が演技に出ちゃうなと思ってグッふたりに近づいていった気がします。あとは、この映画の雰囲気全体がとても柔らかくって、安心して打ち解けることができました。特になつめさんは、年齢を感じさせないというか年齢不詳すぎて、実年齢を聞いた時は本当に驚きました。玲香ちゃんは私もアイドルの時代の姿を見てきていたので、リーダーも務めていて本当に尊敬というか、すごいなって思っていたんですけど、やっぱり一緒にいると普通の女子同士として気さくに話すことができて、それが私にとってはすごい嬉しかったです。

— 今回の穐山監督って年齢も近い女性監督で、なおかつファッション系の会社員をされているという、これまでご一緒されることのあまりないタイプの監督さんだったと思うのですが、だからこそ他の現場と違う雰囲気などはありましたか?

桜井 私は「CLASSY.」という雑誌で、モデルのお仕事させていただいているのですが、穐山監督も「CLASSY.」でお仕事をされることが多いようで、今回の映画のスタッフさんにも共通の知り合いが多くいらっしゃったので、嬉しい反面ちょっと恥ずかしい気持ちもありました。撮影の時は、寒かったし、都心から離れていたりでハードな現場でしたが、穐山さんは動きやすい格好でありながらも、よく見たらパンツの柄がめっちゃ可愛いとか、小物までコーディネートされていて、どんな時も可愛いお洋服でファッションを楽しんでいる姿にいつも元気をいただいていました。

三戸 監督は、なんか空気感とかもちょっと私たちと似ているというか、すごく話しやすかったですね。役について聞いた時に、「そのままでいいよ」って言ってくださって、私はその瞬間にすごい楽になって、演じやすくなりました。そういう温かい会話が思い出に残っています。

岡崎 あとは、監督も女子校出身ということもあり、女子校特有の雰囲気や空気感というものがすごく感じられる現場でした。お話もしやすかったですし、「これはどういう言い方にしましょう?」とか相談すると、ただ指示をするのではなくて、一緒になって考えて悩んでくださる方で、その感じがとても心地よかったですね。なんか女子校の延長ってまさにここで感じているような感覚なのかなって。

— 作中の週末倶楽部じゃないですけど、高校時代に戻ったような空気感があったんですね。

岡崎 そうですね。映画を作る過程でもそれを感じさせてくれる、特別な空気感のある監督だなと思いました。

— 映画の中では、3人がそれぞれ自分の現状に悩む姿が描かれていますが、皆さんがお仕事を続ける上で、このまま進んでもいいのかなと悩んだときに心の支えになったや背中を押してくれたものや存在などはありましたか?

岡崎 高校に入ったばかりの時は、みんなと一緒に地元の大学に行って、就職するのかななんて思いながら普通の高校生をやっていたんですけど、高校2年生で今のお仕事を始めて、この先どうしようって思った時に今の事務所に出会ったんです。いつしか東京への憧れも強くなっていたので、そういった先の未来のお話だったりとかをさせてもらった時に、「そのままでいいんだよ」って言ってもらえて。私もすごく気持ちが楽になったことを覚えています。それが私の中で一つの変化の瞬間でした。

— 今でも時々思い返すことはありますか?

岡崎 ありますね。自分の選択次第で大きく変わる状況だったので、すごく悩んでいた時にとても心を動かされて。それまでは、東京に出て一人暮らしをするなんて考えてもみなかったですし、ここで人生が全然変わってくるぞと思った時に、その大きな一歩を踏み出させてもらえたというか。そういう言葉をかけてくれる人と出会えたというのがすごく大きいなって思い返したりします。

桜井 私はやはり応援してくれる人がいるからというところはすごくあります。グループ時代にすごく悩んでツアーをお休みしてしまった時期があったのですが、そんな負けてしまいそうな時でも、ありがたいことにやるべきことがたくさんあったり、ファンの方たちの優しさやグループの仲間が無理矢理引き戻してくれたことに今でも感謝しています。その瞬間があったからこそ、今こうやってこのお仕事を続けられているし、それがなかったら全然違うことをやっていたかもしれない。求めてくれる人がいるというのは本当にありがたいです。

三戸 私は自分の趣味とか好きなものに救われています。「どうしよう」って悩んだときに自分の好きなことをひたすら黙々とやったり、好きな映画を見たりとか、なんかそういう時間のおかげで「やっぱ私はこれ好きなんやわ、もう一度頑張ろ」みたいな気持ちになれる気がします。

— ところで、実際に皆さんはどのような学生時代を過ごしていましたか?もし、赤面エピソードなどもあればおしえてください!

三戸 今思えば本当に申し訳ないんですけど、人のトイレしてるのを覗いてて……。

桜井 あー、いるよねそういう子(笑)。

岡崎 え?なんですかそれ!人のトイレを覗きに行く??

三戸 なんか高校生の時って、一人で悩んでいそうな子ってトイレに行くイメージがあって。トイレで一人になりたいみたいな。私は勝手に「あの子は何か悩んでる」と勝手に決めつけて、その子がトイレに入ったら横の個室から覗き込んで「大丈夫?」みたいな感じで声をかけてたけど、毎回普通にトイレをしてるだけだったっていうことがありましたね。

岡崎 めちゃくちゃ面白いじゃないですか!(笑)

三戸 本当に今思えば「ごめんね」って感じなんだけど。

岡崎 もしその子が実際に悩んでたらヒーローですよね。

三戸 確かに。でも、私が覗いた子たちは全然悩んでなくて「何が大丈夫?」って感じでした(笑)。なんか、トイレに行くときの顔が暗く見えたんですけどね。

桜井 そんなトイレにルンルンな感じで行かないよ(笑)。

岡崎 私の場合は、ミニスカートが流行っていたのでとにかくスカートを短くしたかったですね。可愛く制服を着たいという気持ちがものすごい強くて。みんなでそういう着こなしをしていたのも楽しかったです。あとは、文化祭の時にみんなで夏休み返上で準備したりとか、模擬店で焼きそばを作るって決まったら、友達と自転車で近くのスーパーに行って、キャベツを8玉くらい買って、段ボールに詰めてぐるぐるまきにして、自転車を漕いで帰るみたいな日々がすごい青春でした。

桜井 私は制服ディズニーとかしていました。自分の学校じゃない制服を着て行ったりとか。

岡崎 なんちゃって制服みたいなのありましたね。

桜井 生足でミニスカ着て……。

三戸 よく生足出してたよね。

岡崎 寒いのにあんなにミニにしちゃって。

三戸 本当に若い時ってタイツ履かなくても大丈夫だったよね。

岡崎 大丈夫でした。今はもう無理ですね。

三戸 もう膝小僧出せない!風邪ひいちゃいますよ。

— 皆さん衣装で制服を着た時の感想はいかがでしたか?

岡崎 緑ベースの制服ですごく可愛かったです。

桜井 赤っぽいデザインも候補に上がっていたんだよ、実は。でも、なんか「ときメモ」みたいな感じなっちゃったんだよね、赤着た時に。

岡崎 ときメモ……?

桜井 「ときめきメモリアル」って知らない?!

岡崎 漫画?

桜井 いや、乙女ゲームっていうのかな。

三戸 昔あったのよ(笑)。確かに赤だと子供っぽいというか、アイドルっぽくなりそうだし緑でよかったよね。みんな似合ってたし、まだまだいけるぜって思いながら着ていました。

— 岡崎さんとのジェネレーションギャップが時々出てきますね(笑)。作中でも現役女子高生として登場するあすかと制服の着こなしなどで意見が分かれていましたが、皆さんが普段感じるジェネレーションギャップって他にもあったりしますか?

岡崎 私は制服の着方の変化に驚いていますね。今はくるぶし丈の靴下が可愛いみたいになっていて、私の頃は紺色のハイソックスが流行っていて、もうちょっと上の世代だとルーズソックスだったりするですけど。流行が変わると靴下が短くなるんだというのにすごい驚きで。あとはなんか、スクールバッグ代わりにブランドのリュックとかを持って登校する子とかもいて、制服がファッション化しているんだなというのはすごい驚きでした。

三戸 私は芸能人の話とかでYUKIさんがJUDY AND MARYだった時代を知らない世代がいることに驚きましたね。

— この映画の中で、タイムカプセルがひとつの鍵となっていたと思いますが、皆さんタイムカプセルはやったことありますか?

桜井・三戸 あります!

岡崎 ないんです〜。

— ではまずやったことのあるお二人に質問です。どういうものを入れたり、どんなメッセージを残したかとか思い出ありますか?

三戸 私は小学校の卒業の時にやったんですけど、w-inds.の「Forever Memorie」の歌詞を手書きしたものを入れました。

桜井 私は10年後の自分へというようなお手紙を入れていました。当時の私もやっぱりこういうお仕事をしたいと書いてました。それにはちょっとびっくりしました。小学生だったと思うんですけど。

— では、最後に10年後の自分に一言メッセージをお願いします!

三戸 42歳でしょ、そうだなぁ。家買ってるかい?マイホーム買ってるかい?かな。

桜井 私も楽しんでるかーい?って聞きたいな。

岡崎 結婚とかしてるんですかね?

三戸 えー!結婚してるかなぁ?

岡崎 どうなんだろう、分かんない!でも、10年後の私が何に幸せを感じているのかは聞きたいですね。

Photo by Yuki Kawashima

INFORMATION

<プロフィール>

桜井玲香
1994年生まれ、神奈川県出身。2012年にアイドルグループ・乃木坂46の1期生としてデビュー。グループのキャプテンとして活躍し、惜しまれながら2019年9月に卒業。その後は、ミュージカル「ダンス・オブ・ヴァンパイア」や「フラッシュダンス」、ブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」Season3に出演し、また光文社「CLASSY.」でレギュラーモデルを務めるなど、活躍の場を広げている。映画出演作に『劇場版 BAD BOYS J -最後に守るもの-』(13)、『あさひなぐ』(17)、TVドラマに「海の上の診療所」(13)、「BAD BOYS J」(13)、「天使のナイフ」(15)、「初森ベマーズ」(15)、「お耳に合いましたら。」(21)、「東京放置食堂」(21)などがある。

岡崎紗絵
1995年生まれ、愛知県出身。2012年の「ミスセブンティーン2012」に選ばれる。卒業後の2016年から『Ray』の専属モデルを務めている。女優として2015年「脳漿炸裂ガール」で映画初出演、連続ドラマ「トレース~科捜研の男~」「パーフェクトワールド」 「アライブ~がん専門医のカルテ~」など話題作にレギュラー出演した。2020年1月公開の映画「mellow」では初めてヒロインを務め、2021年新春ドラマ「教場Ⅱ」に出演し話題となり、2021年6月から放送の月9「ナイト・ドクター」では主要メンバーとしてレギュラー出演を果たした。女優として今後の活躍が最も楽しみの女優の1人。

三戸なつめ
1990年生まれ、奈良県出身。2015年に中田ヤスタカプロデュースによる「前髪切りすぎた」でアーティストデビュー。2018年より、本格的に俳優としても活動を開始し、主な出演作に、『劇場版ほんとうにあった怖い話2018』(18)、『映画 賭ケグルイ』(19)、ヒロイン役を務めた『明日、キミのいない世界で』(20)、『ロックンロール・ストリップ』(20)、『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』(21)、TVドラマに「賭ケグルイ」シリーズ(18・19・21)、NHK連続テレビ小説「おちょやん」(20~21)などがある。『パディントン』(16)と『パディントン2』(18)で日本語吹き替え声優として出演。2017年には絵本「ムム」を発売。

 

<作品情報>

タイトル:『シノノメ色の週末』
監督・脚本:穐山茉由
出演:桜井玲香、岡崎紗絵、三戸なつめ/中井友望、山田キヌヲ/工藤阿須加
配給:イオンエンターテイメント
©2021 映画「シノノメ色の週末」製作委員会

公式サイト 

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