カレーときどき村田倫子 #2 Shania 猫のあじと
LIFESTYLE
「春夏秋冬、朝昼晩カレーが食べたい!」そんなカレー好きによる、カレー好きのための連載。持ち物は、お財布とカメラと、ほとばしるカレー愛。自他共に認める、無類のカレー好き村田倫子ちゃんが、都内のカレー屋さんを訪ねます。
第1回目の記事はこちら
第2回目は、倫子ちゃん御用達、薬膳スープカレーの名店シャナイアへ。恵比寿駅から徒歩10分。地図を頼りに道順を行き行けば、住宅地に。その中に、「あ!」思わず声を上げてしまう猫のオブジェと看板が! どうやら、ここのようです。
深みのある木の扉を開けようとすると、こんなものに気がつきます。 “猫のあじと”。これは、ますますの隠れ家感です! 一体どんなあじと なのでしょうか? 高鳴る気持ちを抑えつつ、ゆっくり扉を開けます。
なるほど! 壁一面に飾られた猫の絵! これはまさに、猫のあじと。都心にいるのがちょっと信じられないような異空間です。昔読んだ絵本に出てきた 森のレストランのよう。
「こんにちは」と、奥の方からオーナーの田部井さんが出てきてくださいました。隣にいらっしゃるのは奥さまの朝子さん。優しい笑顔の、とても素敵な雰囲気のお二人。さっそくオーダーの相談に乗ってもらいました。
好みの具材、スープ、辛さ、トッピング、ライスの種類をステップ式で選んで、自分好みのスープカレーが食べられるそう。こうして、1つ1つが選べるのもシャナイアの魅力。倫子ちゃんが選んだのは、たっぷり野菜と熟成チキンのスープカレーをお店オススメの寝かせ玄米で。スープは、ココナッツベースを。辛さは4辛、トッピングはうずらの味玉です。自家製コールスローサラダも追加で。
スパイシーなスープカレーには、やっぱりラッシーでしょう! ということで、自家製ラッシーも一緒に。全部が揃うと、なんと色鮮やか!
思わず、あらゆる角度から写真を撮りたくなってしまいます。ピーマン、蓮根、パプリカ、南瓜、ブロッコリー、エリンギ…こんなにボリューム満点の野菜が一度に摂れるのも嬉しい。
ではでは、心して、いただきます!
一口食べると、倫子ちゃんも思わずこんな顔に!
体にいいものがたっぷり凝縮されたスープ、ジューシーなチキン、野菜の歯ごたえと甘み旨み、寝かせ玄米のもっちりな食感、全部がしっかりマッチしています。ココナッツベースのスープが辛味を程よくマイルドに仕上げてくれているのも食べやすい!
「カレーって色々あると思うんですけど、どうして薬膳スープカレーに注目されたんですか?」倫子ちゃんの質問に、ご夫婦の意外な素顔とお店の歴史が見えました。
「学生時代にスープカレーの本場である北海道にいたこともあり、もともと大好きだったんです。サラリーマン時代に、自分の周りに冷えに悩んでる方も結構いらっしゃったので、薬膳だとさらにいいんじゃないかなって。それで薬膳について1から勉強しました」(田部井さん)
田部井さんはIT企業で勤めるサラリーマンだったとか。何か好きなことを! そう考えて、このお店を始めたとのこと。これだけでもびっくりでしたが、人気店の知られざる秘密はまだまだありました。
「昔は祖父がここに住んでいて、はじめはアートギャラリーにしたんですけど、主人がスープカレー屋さんをやるっていうことでお店にしました。父が日本画のプロで、この猫の絵たちは父のものなんです」(朝子さん)
「ちなみにこちらは、妻が描いたものなんです」(田部井さん)
壁の左右に分かれて飾られた猫の絵は、それぞれが、朝子さんと朝子さんのお父さまの作品だったのです。
1つ1つのテーブルに備え付けられている、この“ニャン”とも可愛い薬味入れをはじめ、肉球があしらわれたレンゲも呼び鈴も、全部朝子さんの手作り!
「最初は車での移動販売から始めました。品川方面など、会社勤めの方々がたくさんいらっしゃるところで売っていたんです。今でもその頃からのお客さんがお友達を連れて来てくださったりして、とても嬉しいです」 シャナイアは、美味しいスープカレーの有名店というだけでなく、ご夫婦の持つ歴史と世界観が詰まった、唯一無二のお店でした。
シェフのアイデアと手間暇、食材そのものが持つ力。それらが織りなす温かみ。元気を出したい時に、足を運んで食べたくなるようなシャナイアのスープカレー。初めての方も、何度目かの方も、ぜひ!
Shania@猫のあじと
電話番号:03-3442-3962
住所:東京都目黒区三田1-5-5
営業時間:1130(L.O.14:30)1800(L.O.21:00)
※ ランチ・ディナーともにスープがなくなり次第終了
定休日:日・月曜日
【食べりんログ(倫子隊長による編集後記)】
よく、良薬は口に苦しという。しかし、それを覆す事実が、ここシャナイアだと私は思う。実はプライベートでもよくお邪魔しています。シャナイアで出されるカレーは、薬膳スープカレー。ご主人のサラリーマン時代の経験から、冷えに悩めるOL達の声をヒントにここにたどり着いたとか…。年中冷え性、夏でも手先の冷たさ故、逆に友人達から手を重宝されるほど冷えに悩む私にとって、まさに救世主のような存在です。
ルーのスパイスはご主人オリジナルの調合。一口いれた瞬間、身体が「なんかいいものがたくさん入ってきたぞ!」と喜びを感じる深みに溢れています。スープカレーのサラッとした印象をいい意味で覆す濃厚さと、溢れんばかりにトッピングされた野菜やチキンのボリュームで、目で見ても楽しい、食べても幸せの贅沢さ。そして、一口運ぶたびに、不思議と身体の芯の方から火照ってきます。普段の辛さやスパイスからくる火照りとは違う感覚。すごい、これが薬膳の力…。元々スパイスの力で健康的だと見直されているカレーに、プラス薬膳の要素を加えた、薬膳カレーはまさに最強の健康食ではないでしょうか。
カレーの話に夢中になってしまいましたが、ここシャナイアは、外見、内装に登場する猫達も魅力的な場所。奥さまと奥さまのお父さまが手掛けた素敵な絵画はもちろん、店内をよく見渡してみると、色々なところに可愛いにゃんこ達が隠れているので、それを見つけるもの面白いかもしれません。 ぜひ、冷え性の友達と、猫好きの友達がいたらシャナイアを紹介してみてください。あなたの株がぐんと上がること間違いなしです!
出典:She magazine