カレーときどき村田倫子 #27 FISH

カレーときどき村田倫子 #27 FISH

趣味はなんですか?
と取材、アンケートで聴かれることが多い。

「食べ歩きです!!!!」
恥ずかしながら、私はこれ一択しか思いつかない。

理想は映画鑑賞、スポーツ、料理(モテそう)など爽やかに言いたいけれど、嘘をつくわけにはいかない。
そんなわけで、趣味を謳歌すべく日々、行きたいお店リストの編集に勤しみ、
暇さえあればネットを駆使して情報を集めているのですが、、、。
情報源のツールであるインスタグラムにて、ある日を境に、カレー好きのアカウントさんがこぞって同じポストを投稿している現象が勃発。


皿から溢れんばかりの二種がけのカレー。
一目惚れした私はすぐに店名をチェックし、思い立ったらすぐ行動、今回やってきたわけです。
「FISH」へ!!!!


店内は淡いエメラルドグリーンの壁紙に、床はお洒落なタイルが引かれ、レトロモダンな粋な雰囲気。
外見からのギャップに、異国へ迷い込んだかのように感覚。





ところで、このお店。
カレーマニアのあなたには、もしかしたら既視感のあるネーミングかも知れません。そう、こちらの店舗は、元は六本木一丁目駅すぐの赤坂アークヒルズにあった人気店。その店舗を引き継ぐ形でリニューアルオープンした、“ニューFISH”なのです。


30年もの間、数多くの人に愛された、FISH。
東京の一等地。まるでサラブレッドなイメージが先行しますが、そこは店に歴史あり!
実は、当初は高円寺の掘建て小屋のようなお店を、先代のオーナーが一人で切り盛りしていたそうです。
ある日、ふらっと訪れた有名な料理詳論家の目に留まり、東京の中心に引っ張られる形でオープンしたそうな。まさにカレー会のシンデレラストーリー。

そして、惜しくも引退された理由も実にユニーク。
「何時間も玉ねぎを炒めるのに疲れた」!?


FISHでは、玉ねぎ一日40キロ炒める(ダンボールケース4、5箱分)。
この予想を超えたシビアな数字。
抜かりない一皿を提供するため、30年以上この玉ねぎさんと格闘し汗を流してきたかと考えると、私の人生より長い間、鍋をふるい続けた先代のオーナーの偉業には、頭が上がらない。
(聞いた瞬間は、わがままボーイかと思ってました。本当にごめんなさい)

そして、現オーナーにも歴史あり!
なんと、元はFISHを愛する常連さんだったのです。



店が閉店する。
この大好きな味を二度とかみしめることができない悲劇を誰よりも惜しんだのが現オーナーの齊藤崇さん。
どうにか守り、自分が惚れ込んだカレーをもっと多くの伝えたいという一心で
何度も先代のオーナーと打ち合わせを重ね、熱意を伝え、見事お店の引き継ぎが実現したのだとか、、、。
(他にも10社ほどのオファーがあったそうです。すごいドラフト会議)


前のお店でも、料理長を務めていたディパックさんが中心となって編み出すカレーは、もちろん、あのFISHの味を忠実に私たちの味覚に運ぶ。
提供のスタイル(盛り付け)は、リニューアル。
アチャール、惣菜、パパド、卵でおめかしされた一皿は、
よりのカレーの美味しさが引き立ち、食べる前からの期待感高まる見栄えに口元が緩む。
 

見てくださいこの大皿!
顔の前に並べると小顔効果も期待できますね、、、。
ドヤ顔でツーショットです。


それでは、お待ちかねのいただきます。


頼んだのは、白身魚&キーマカレーライス(¥1350)

オーナーをがっちり射止めた、名物のキーマカレーから。
おいひぃい、、、、(美味しすぎた衝撃による形容の変化)
一口目から味覚がビビビと覚醒。
濃厚な旨みの波がぐんと押し寄せて、引き際にスパイスの第二ウェーブがやってくる。


やみつきになる予感。
日本人が好きな甘辛に近い感覚をスパイスで表現するとこんな感じになるのかなあ。最後にすーっと上品に鼻を通るカルダモンの芳香が心地よく、より一層キーマのスペックを引き出す。


このキーマが存在しなければ、私が今、この場所、この時にFISHのカレーを味わうことはなかった、、、。と考えると静かに肌が粟立つ。
あぁ、ありがとうキーマさん。
この素晴らしいバトンを、渡すべくパートナーに、力強く託してくれて。
勝手ながらこの偉業に表彰状を渡したいくらいだ。


ライスを挟んで向こう岸の白味魚はどうでしょう?
生クリームをふんだんに使用した濃厚な口当たりは、まろやかなコクにうっとりする。濃厚なルゥの口当たりに、少し淡白な白身の相性は抜群で、二つが手を取り合い、舌の上でくるくる踊り溶け込む。


カレーに選ばれることで、その食材はドレスを纏ったシンデレラのように
いつもと違う姿で私たちを楽しませてくれる。
スパイスは、魔法だ。
備え付けの惣菜や、アチャール、卵を混ぜ込んで食べれば、
また違う味の切り口や食感が楽しめて、スプーンを運ぶ手は止まる気配が見えない。(パパド好き)


満足感高めのボリューミーな量でしたが、
あまりの美味しさに、気づけばお皿の底が綺麗に見えていました。
長年、数々の人の惚れこませ、長い時を経てバトンを託し、また新たなスタートをきった伝説のカレー屋さん。

 

今でこそ、スパイスカレーは日の目を浴びて、数々の媒体でも注目されているので私たちにも馴染みのあるカレーの形ですが、このクオリティを30年も前から提供されていたという技術とセンスに、驚きが隠せませんでした。
まだニューFISHがオープンして数ヶ月。
素晴らしいロケットスタートに、今後どのような進化を遂げるか楽しみです。
私もすっかり虜になってしまったので、また近々帰ってこよう。


Text:Rinko Murata
Edit:Miiki Sugita
Photo:Kayo Sekiguchi

INFORMATION

FISH
住所:東京都新宿区西新宿7-5-6 新宿ダイカンプラザ756 2F
電話番号:03-5937-6322
営業時間:11:30-15:00 /17:00-23:00(L.O22:30)
定休日:なし