ニューヨーク・ファッションウィークに参加した若きデザイナーたち

ニューヨーク・ファッションウィークに参加した若きデザイナーたち

2月10日にニューヨーク・ファッションウィーク公式イベントとして開催された「Asia Fashion Collection (アジアファッションコレクション、以下AFC)NYステージ」。

当日は多くのメディアやバイヤーなどのファッション関係者が来場し、大盛況でした。

10月に行われたTOKYOステージの最終選考会から参加が決定した、『AH(エーエイチ)』の和中碧(ワナカ アオイ)さん・イ ヒョウォンさんのうち和中さん、『epi a la mode(エピ ア ラ モード)』の堤美穂(ツツミ ミホ)さん、『Fumiku(フミク)』の林史佳(ハヤシ フミカ)さんにNYのステージで感じたことや、彼女たちの現在とこれからを語っていただきました。


右から和中さん、堤さん、林さん


__まずはブランド名の由来やコンセプトを教えて下さい。

林さん(以下林):私はブランドを作るときにミューズがいたんです! 全く架空の人物なんですけど。身長や体重まで細かく設定していて、その子に「ミク」という名前をつけていて。私の名前が「フミカ」なので、その2つを合わせて『Fumiku』になりました。
今のミューズは違う子なんですけど。新しい子には名前はつけていないんですけど、その子がどういう生活をしているかとか、そういうポイントはすごく大事にして、デザインを考えています。


 
  『Fumiku』の服を着ることで“毎日変わらないと思っていた日々が刺激的になったり、ワクワクできるようになる”。というのをコンセプトに服を作っています!
今回発表したものは“リアルとファンタジーの間の世界”をテーマに作りました。


Fumiku


Fumiku

堤さん(以下堤):「epi」というのがフランス語で稲穂の穂という意味があって。私の名前にも穂という漢字が入っているので、そこから取って。「a la mode」は流行という意味があるんですけど、響きも気に入ったので、くっつけて『epi a la mode』にしました。小文字で書いたときの雰囲気も私らしさというか、ぽいかなと。




epi a la mode


epi a la mode
 
『epi a la mode』は“フィクションの充実”というのをコンセプトにしていて。明確なモチーフというものはなく。肌で感じ取る空気感だったり、人の感情だったり。内面的な部分からデザインのインスピレーションを受けることが多いですね。今回は“ナイーブ”という感情をテーマにしていて。キメ過ぎず、イメージした人物像にもそういった部分を取り入れています。

 
和中さん
(以下和):今日は私1人ですが、韓国人のイ・ヒョウォンと2人でブランドをやっていて。2人の名前から一文字ずつ、あおいの“A”とヒョウォンの“H”を取って『AH』というブランド名にしました。
“都会の中で自然を感じられ、服を着た瞬間からその女性が自信を持てたり、気持ちが高まったりする服作り”をコンセプトにしています。
 

AH


AH

__みなさん、NYファッション・ウィークでショーを行ったわけですが。率直な感想は?


:会場に見に来て下さった方に直接意見を聞けたわけではないんですけど。私の服は和風という意味ではないんですけど、すごく“日本ぽい”と思っているところがあって。“ダサかわいい”みたいな、野暮ったさが愛らしいという感覚なんですけど。
なので、日本で発表するのとNYで発表するのとでは見え方違っていたのかな?と、思いましたね。
あとは、学校などの発表以外でちゃんとしたショーをやった経験がなかったので。モデルさんのフィッティングやバックステージもいろいろ勉強になって、すごく良い経験になりました!


Fumiku

:私は反省点が多くありました。ショーで自分の作った服をアピールするために、たくさんのことを考えて行ったつもりが、持っている力を出し切れなかったと感じる場面が多くて。
NYではプロのリアルな目というか、厳しい視線を感じたり。自分よりショー経験のあるブランドの方々のクオリティの高さや、見せ方の技術に驚いて。今まで自分が日本でやっていたものは甘かったな、と思いましたね。
でもそれが刺激となり“まだまだ頑張ろう!”と思えたので、良い経験になりましたね。
思い返せばとても楽しい時間が過ごせました。


epi a la mode

:私は東京での予選のときは、自分の思いを表現したい!という気持ちだけでやっていて。まさか最終予選で選ばれると思っていなくて(笑)。でも、せっかく日本の代表としてNYのステージに立つのであれば、見る人が楽しめるような服を出したいと思ったんです。それで、ほとんどのルックを作り替えました。
作り替えたことで、ちょっとずつ自分が作りたい服に近づけられたかな?という気持ちになって。そういう新しい感情と巡り会えたことが新鮮で。NYでのステージを経験して良かったと思いましたね。


AH


__『AH』はNYのショーではがらりとスタイルを変えたそうですが。
 
:私の場合はテーマから変えました。でも東京の時と全く違う風にするのではなくて、「雪月花」というテーマで、日本のキレイな言葉やキレイな景色をNYで出せたらいいなと思ったんですよね。日本人が美しいと思う感覚を、NYの人たちにも同じように伝えることは難しいと思いますが。それを服で表現できたらいいなと思ったんですよね!日本の良いところを。

__『epi a la mode』と『Fumiku』もスタイルを増やしたとか。

:私が今まで作っていたものがS/Sのアイテムだったんですけど、NYではA/Wのタイミングになるので、単純にコートなどのアウター系のアイテムを増やしたこと。あとは少しNYを意識して、都会っぽい雰囲気が出るようにアイテムの丈感やスタイリングも変えました。
 
 
私の服はわりと野暮ったくなっちゃうんですけど(笑)。“わざと野暮ったくするという感覚は日本だけ”というアドバイスをいただいたので。海外っぽいおしゃれ感を出すために、1着1着は野暮ったくても、そう見えないように肌の露出具合を考えたりはしましたね。
肌を隠しちゃうのは日本ぽい感覚だと思ったので、意識的に脚が出ているルックを作ったりしました。

:私は3ルック足したんですけど、はじめはそんなの簡単だと思っていたんです。でも、それがすごく難しくて。
自分の気持ちもこのテーマで服を作りはじめたときとは変わっているので、若干ズレがあったのと。意識的にはNYの方が大人っぽいビジュアルになったらいいな、と思ったところもあって。丈や生地、シルエットも大人っぽさを意識して作りましたね。
ロング丈のものを多くしたてり、色味や素材も。でも特に素材はこだわりました!エレガントに見える素材で子どもっぽいものを作ったり、そういう意識をしました。


__ショーのお洋服のデザインはご自身ですが、製作は一部工場などに依頼した部分もあったそうですが。

:私は東京ステージのときからお世話になっている京都の刺繍屋さんがあるんですけど。かなり年上の方だったので、メールやFAXでのやり取りより直接お会いする方が話も早いと思って。京都に何度も行って刺繍を一緒に打たせてもらったり、アイロンがけを一緒にやったんですね。
そうした事によって、その方も私の想いに共感してくれて。「頑張って欲しい」と思ってくれている気持ちが伝わってきて、それが私のパワーにもなりました。

 
ブランドも2人でやっているけれど、そうやっていろいろな人とつながっていくことが、すごく大切だと思いました。

:私もそうですね。縫製工場さんや機屋さんもそうなんですけど。
最近、機屋さんに行く機会があって。電話での連絡は何度かしていたんですけど、直接伺ってお話を聞いたのは初めてで。生地を見るだけではわからなかった、生産者さんの人柄やどんな場所で作っているかも見ることができて。ひとつの生地が完成するまでのすごさがわかって感動しました!
相手もこちらのことを知ってくれて「応援するよ!」と言って下さったり、自ら足を運ぶことの大切さを感じました。これからも、工場や機屋さんなど関わっているすべての方をリスペクトしてやっていきたいと思いましたね!


Fumiku

:人とのつながりの大切さは私も感じていて。ブランドを作って、はじめて名刺交換をするというやりとりがあったのですが。そこから雑誌への掲載のお話をいただいたりということもあり。地道なことだけど、営業やその場に足を運んで話をしたり、積極的にコミュニケーションを取るのも大事だなと思っています。


__みなさんバンタンデザイン研究所の学生さんですが。授業で役に立ったと思うことは何でしょう。

:私はX-SEEDというブランドデビューを目指すクラスに通っているんですけど。嘘ではなく、先生方の話は全部ためになります!X-SEEDに通っていなかったらブランドデビューは無理だったな、と。基本的な知識はもちろんですが、プレゼンなどの営業面も教えてもらえるので。服を作って終わりではなく、その先も教えていただけたのは良かったです。
私はX-SEEDに通う前は3年間デザインクラスで、ビジネス面は全くで。作ったものをお金にしていくための方法を教えていただけたのは新鮮でした。
それまでは自由に作るだけだったけど、独立するならそれだけではだめなんだと思って。実現する方法を教えてもらいましたね。

 
:私も授業は全部好きでした♪ でも、いちばん印象に残っているのはテキスタイルの授業です。私は生地選びがすごく下手くそで、X-seedに入るまでは自分の好きな生地しかチョイスしてこなかったんですけど。
先生は実際に生地を並べて、それぞれの見え方や与える印象を教えてくれて。今まで1択だった自分の選択肢が広がりました。今回のショーで作ったドレスもそうなんですが、間隔の違うストライプの生地のどちらが前にくるかだけでも印象は変わるんです。そういった発想力が自分の中でもっと育てば、デザインや見せ方の幅も広がると思うんですよね。


epi a la mode

:私は先生だけでなく、関係者の方みなさんと会話することを心がけていたんですけど。何かわからないことがあったら、すぐ聞くように。そのコミュニケーションがあったからこそ、AFCもNYにも行けたと思っていて。
授業はもちろんですけど、思ったことをすぐに聞ける環境があるということがバンタンの良いところですね。


__みなさん、これから何をやりたいですか?

:私はAFCをきっかけに、本格的にブランドを続けていきたいと思っていて。
時間がかかっても、ビジネスに繋がるようにして行きたいと思っています。すぐに結果が出なくても、これから3年間くらいは自己投資だと思って。継続して、今やるべきことに挑戦していきたいと思っています。


AH

:ブランドはもちろん続けていきますが。今年の1年は自分の中で、正直あいまいになってしまっているブランドのアイデンティティをしっかりと模索する期間に使いたいと思っていて。
ロンドンなどヨーロッパへも行ってみたいですね。いつも見ている映画の中の景色や、そこに住んでいる人たちの空気感とか。肌で感して吸収するものがあれば、それを活かして来年からスタートしていきたいな、と。

:私は自分のブランドを今よりもっと、たくさんの人に見てもらえるようになりたいですね。
ショーや写真でビジュアルを見せるといった、発信の方法にまだ慣れていないので。服をもっと作って、クオリティを上げて、経験を積んで。人とのコミュニケーションも忘れずに、私の服を知ってもらうことをやっていきたいと思っています。


■AH(エーエイチ)
Aoi Wanaka
Hyowon Lee

Profile/社会生活を経て、2017年バンタンデザイン研究所在学中に「AH」をスタート。Asia Fashion collection 5th にて18SSコレクションを発表し、最優秀賞を受賞。2018年2月、ニューヨークファッションウィークにて18-19AWコレクションを発表。
http://ah-tokyo.com/

■epi a la mode(エピ ア ラ モード)
堤 美穂 (つつみみほ)

Profile/1995年栃木県生まれ。バンタンデザイン研究所ファッション学部を経て、同校X-SEEDコースに進学。在学中からセレクトショップの企画・ディレクションや、ドメスティックブランドのアシスタントを経験。
2017年 Asia Fashion Collection 5th で入賞し、ニューヨークファッションウィークにて18-19AWコレクションを発表。
http://www.mihotsutsumi.com/

■Fumiku(フミク)
林 史佳 (はやしふみか)

Profile/1995年生まれ。バンタンデザイン研究所在学中に自身のブランド「Fumiku」をスタート。
Asia Fashion collection 5th にて18SSコレクションを発表し、最優秀賞を受賞。翌年2月のニューヨークファッションウィークで18-19AWコレクションを発表。
http://fumiku.tokyo/

INFORMATION

【Asia Fashion Collection(AFC)とは】
株式会社バンタンと株式会社パルコが主催するアジアの若手デザイナーを発掘し、起業支援をするプロジェクト。韓国・台湾・香港・日本の若手デザイナーたちが参加し、国際的な展示会への出場権とパルコでのコレクション展示やポップアップショップの出店をかけて競い合います。

・2018年度アジアファッションコレクションの募集は5月公開予定
http://asiafashioncollection.com/

・同時募集として高校生限定のファッションコンテスト「AFC High School Contest」も募集開始予定
http://asiafashioncollection.com/hsc/

・バンタンデザイン研究所
http://www.vantan.com