【8月公開の注目映画】編集部のおすすめ5選

『天使の入江』La Baie des Anges ©ciné tamaris 1994   監督・脚本:ジャック・ドゥミ 出演:ジャンヌ・モロー  


1.特集上映『ドゥミとヴァルダ、幸福についての5つの物語』

『シェルブールの雨傘』など、後世に語り継がれる名作で世界に魔法をかけたままこの世を去ったジャック・ドゥミ。そして、女性映画監督の第一人者であり、“ヌーヴェル・バーグの祖母”との異名も持つアニエス・ヴァルダ。

夫婦として、そして、同士として刺激しあった、ロマンチックで、憧れで、伝説的なふたり。そんなふたりの輝ける作品の中、珠玉の5作品がスクリーンに蘇る。静かでありながら、情緒的。燃え上りながらも、沈みゆく。その波止場の黄昏のような作品に、私たちは今もなお胸を熱くする。

ジャック・ドゥミ作品からは、“ヌーヴェル・ヴァーグの真珠”と賞賛された『ローラ』がヴァルダの監修によって完全修復。アニエス・ヴァルダ作品からは、ファッショナブルで哲学的なガールズムービー『5時から7時までのクレオ』、上映作品中唯一のカラー『幸福(しあわせ)』、そして、生涯の伴侶ドゥミのルーツを愛と切望によって、ヴァルダ自らがフィルムに焼き付けた『ジャック・ドゥミの少年期』が上映される。

また、劇場正式初公開となる『天使の入江』は、先刻この世を去った女優ジャンヌ・モローとドゥミとのタッグ作でもある。
不美人と評されながら、ふたつとない魅惑的な存在感を以て私たちを魅了したヌーヴェル・ヴァーグのミューズ。「フランスの男もやっと、容姿だけが魅力じゃないと気づけて嬉しい」「私は女達を賞賛している。ありのままの姿を彼女たちに示そうと思ったの。男たちが示す姿ではなくてね」
愛と自由を両手に、最後まで色褪せることなく、クールに飛び立った世紀の大女優への追悼の意も込めて、スクリーンに生きる彼女の姿をこの目で焼き付けたい。

▼Information
『特集上映〔デジタル・リマスター版〕』
ドゥミとヴァルダ、幸福についての5つの物語
『ローラ』
『天使の入江』
『ジャック・ドゥミの少年期』
『5時から7時までのクレオ』
『幸福(しあわせ)』
シアターイメージフォーラムほか全国順次公開中

配給:ザジフィルムズ
公式HP:http://www.zaziefilms.com/demy-varda/
 

https://www.youtube.com/watch?v=BNW-E40_U9M




 
©2017 島尾ミホ / 島尾敏雄 / 株式会社ユマニテ


2.『海辺の生と死』

奄美大島への旅行中、空港や島のお土産屋さんの至る所で見かけた、“島尾敏雄”“島尾ミホ”の名前。
映画『海辺の生と死』を観る半年ほど前に、私はこの日本文学史上に名前を残す二人のことを知った。

独特な緑の色合いをした木の葉、美しくて怖くて偉大な海。
大きなガジュマルには精霊が棲んでいて、島には神様が点在している。
特別なエネルギーと魂のメッセージを感じる場所。そして、そこで出会った二人の物語もまた、強烈なインパクトを私に残した。

奄美・加計呂麻島で育った島尾ミホによる短編集『海辺の生と死』。
奄美に伝わる昔話や伝統、日々の暮らし、そして、島にやってきた特攻隊長との運命的な出会い。そこには、隊長の出撃の知らせを受けた<私>が、死を覚悟して、家を出るまでの顛末が綴られていた。

主人公のトエを演じるのは、奄美が自身のルーツでもある満島ひかり。
短剣を片手に“死”だけを見つめて海辺に向かう姿の、苦しいほどの切なさと愛の強さ。一挙手一投足から感じる狂おしく激しい愛情は、スクリーン越しに見ても圧倒的だった。

島の手付かずの自然と、その中で描かれる男女の運命。
激しく恋するトエを通して感じるのは、男女の愛だけではない。
戦争の恐ろしさと、運命のどうしようもなさ。
死へ向かいながらその瞬間を最高温度で生きている人は、こういう顔をするんだ、と、花に唄うトエを、海辺に立つトエを見つめながら、息を飲んだ。

▼あらすじ
昭和19年(1944年)12月、奄美 カゲロウ島(加計呂麻島がモデル)。国民学校教員として働く大平トエは、新しく駐屯してきた海軍特攻艇の隊長 朔中尉と出会う。朔が兵隊の教育用に本を借りたいと言ってきたことから知り合い、互いに好意を抱き合う。島の子供たちに慕われ、軍歌よりも島唄を歌いたがる軍人らしくない朔にトエは惹かれていく。やがて、トエは朔と逢瀬を重ねるようになる。しかし、時の経過と共に敵襲は激しくなり、沖縄は陥落、広島に新型爆弾が落とされる。そして、ついに朔が出撃する日がやってきた。母の遺品の喪服を着て、短刀を胸に抱いたトエは家を飛び出し、いつもの浜辺へと無我夢中で駆けるのだった。

▼Information
『海辺の生と死』
テアトル新宿にて公開中 ほか全国順次公開
脚本・監督:越川道夫
原作:島尾ミホ「海辺の生と死」(中公文庫刊)島尾敏雄「島の果て」ほかより
出演:満島ひかり、永山絢斗、井之脇海、川瀬陽太、津嘉山正種
配給:フルモテルモ、スターサンズ
公式HP:http://www.umibenoseitoshi.net/


https://www.youtube.com/watch?v=wi23Xq2SZBg



 

©2017 映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」製作委員会  ©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社


3.『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』

“ジョジョ立ち”なんていう言葉に耳馴染みがある人も多いだろう。
圧倒的な画力と確立された世界観で、多くのファンの心を掴む荒木飛呂彦原作の『ジョジョと奇妙な冒険』。誕生から30年を迎える今もなお、熱いファンの視線を集めるカルト的人気コミックだ。

その初となる実写化に挑んだのは、エンターテイメント性に富んだ、アトラクティブで豪快な演出で、観る者を魅了する三池崇史監督。痛快でエネルギッシュなファイトシーン、異世界へ誘ってくれる独特のムードと予想外の展開。ジョジョファンも、ジョジョビギナーもみんなを誘って、真夏に大勢で観るのに、推したいグレートな話題作だ。

キャスト陣の豪華さも話題の一つ。これまでにはなかった役柄に挑んだ主演・東方仗助役の山﨑賢人を筆頭に、神木隆之介、小松菜奈、岡田将生、新田真剣佑、山田孝之、伊勢谷友介と、個性溢れる面々が一同に集った。先日行われた公開記念舞台挨拶では、それぞれが作品の魅力を語り、会場は大盛況の熱気に包まれたまま幕を閉じた。

特殊能力を持ちながも、等身大なヒロイン。
祖父を尊敬し、母を思いやる優しき高校生として生きる東方仗助に「人としての魅力を感じる」と、主演山崎賢人は役柄への思いを語った。
そして、目を見張るような最新のCGと、演者の命がけの熱演の融合。その魅力が余すことなく発揮された、特殊能力<スタンド>を駆使した戦闘シーン。両者のエネルギーのぶつかり合いには、つい前のめりになってしまった。
できれば多めの人数で、超満員の映画館で、絶叫コースターのように分かち合いたい。特殊な次元を持った作品だった。

▼あらすじ
平和な町を震撼させる連続変死事件―。1人の高校生が悪に立ち向かう!<スタンド>と呼ばれる特殊能力を持つ高校生、仗助。彼の住む杜王町では、最近、変死事件が続発していた。仗助は偶然、同じくスタンド使いであり、一連の事件に関わる凶悪犯アンジェロの犯行を邪魔してしまったことから、次の標的にされてしまう。家族と町を守るため、アンジェロと戦うことを決意した仗助。
彼のスタンドは、触れるだけで他人のケガや壊れたものをなおすことができる「クレイジー・ダイヤモンド」。
そんな最も優しい力を持つ仗助は、彼に危険を知らせに来た承太郎と共に、最凶の力を使うアンジェロに立ち向かう。果たして、仗助と町の運命はー?

▼Information
『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』
全国絶賛公開中
原作:荒木飛呂彦(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:三池崇史
出演:山﨑賢人、神木隆之介、小松菜奈、岡田将生、新田真剣佑、観月ありさ、國村隼、山田孝之、伊勢谷友介
配給:東宝/ワーナー・ブラザース映画
公式HP:jojo-movie.jp


https://www.youtube.com/watch?v=ezDHHez9qAA



 

Photo by MARY CYBULSKI ©2016 Inkjet Inc. All Rights Reserved. 


4.『パターソン』

ニュージャージー州パターソン、街と同じ名前を持つバスの運転手。
彼が送るさりげなく、一度きりの日々を描いた7日間の物語。
愛する妻の寝顔、愛犬との夜の散歩、心の内を書き留める秘密のノート、人との出会いと交流。一見変わり映えしないように見える毎日は、愛とユーモア、優しさに満ちている。

バスの乗務をこなしながら、詩人の顔も持つパターソンの1週間。
ルーティーンとアンルーティーンが、ジム・ジャームッシュ監督の持ち味である、それこそ詩のような行間と、飄々とした語り口で描かれる。
「まるで魔法のよう」「今年のベストフィルム!」「奇跡のような物語」 各誌が寄せた絶賛の声。
こういう映画が讃えられる世の中でよかったと、ふと思う。

パターソンの秘密のノートの詩を読んで、美しい寝顔の妻はやさしく、確かにこう言う。
「あなたは素晴らしい」「偉大な詩人よ」
どんなダイナミックな出来事よりも、手に汗握る展開よりも、素敵なことがこの映画では描かれている。愛と表現、人生へのプレイフルなメッセージ。

日々の歓びは、煌めきは、何ともない時間にこそ隠されていて、
同時に何ともない時間の先に何が起こるか誰にもわからないものなのだ。
思いがけない出会い、思いがけない出来事。
同じ色の日なんて、本当は1日もない。
そして、その優しい景色は時に詩となり、物語となる。
人は誰しもが表現者。そんなことも改めて思った。

▼あらすじ
ニュージャージー州パターソンに住むバス運転手のパターソン(アダム・ドライバー)。彼の1日は朝、隣に眠る妻ローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)にキスをして始まる。いつものように仕事に向かい、乗務をこなす中で、心に芽生える詩を秘密のノートに書きとめていく。帰宅して妻と夕食を取り、愛犬マーヴィンと夜の散歩。バーへ立ち寄り、1杯だけ飲んで帰宅しローラの隣で眠りにつく。そんな一見変わりのない毎日。パターソンの日々を、ユニークな人々との交流と、思いがけない出会いと共に描く、ユーモアと優しさに溢れた7日間の物語。

▼Information
『パターソン』
8月26日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
監督・脚本:ジム・ジャームッシュ  
出演:アダム・ドライバー、ゴルシフテ・ファラハニ、永瀬正敏、他
配給:ロングライド
公式HP:paterson-movie.com
 

https://www.youtube.com/watch?v=w6zjJp33zwg



 

©2017「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」製作委員会


5.『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』

かつてテレビドラマで放送され、ドラマでは異例の日本映画監督協会新人賞を受賞した『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』。
その瑞々しい物語はさることながら、当時のゴールデンタイムのドラマとしては斬新だったフィルム仕立ての撮影法も話題を集めた。
あの夏から20年以上の時を経て、今新たに“夏の日”が描かれる。

原作は、『Love Letter』『リップヴァンウィンクルの花嫁』の岩井俊二、脚本は『モテキ』『バクマン。』の大根仁が務める。日本映画界を牽引する二人の頼もしいタッグ。それぞれの手法と色で観客を魅了し続ける二人が綴るのは、“繰り返される夏の一日”を描くラブストーリー。

声の出演は、話題作への出演が相次ぐ広瀬すずと菅田将暉。その実力と存在感で、同世代の中でも圧倒的な人気を誇る菅田将暉は今作で声優に初挑戦する。二人のほか、声優界のトップランナー・宮野真守、国民的女優のひとりである松たか子など、ジャンルの垣根を越えた豪華キャストの集結も見どころだ。

「もしも、あのとき…」「もう一度、時間を戻せたら…」
繰り返す、夏のある一日、在りし日の後悔と疾走。
切なくも美しいメロディで彩られながら、最後の花火が落ちるまで、物語は加速する。

▼あらすじ
夏休み、とある海辺の町。花火大会をまえに、
「打ち上げ花火は横からみたら丸いのか?平べったいのか?」で盛り上がるクラスメイト。そんななか、典道が想いを寄せるなずなは、母親の再婚が決まり転校することになった。
「かけおち、しよ」なずなは典道を誘い、町から逃げ出そうとするのだが、
母親に連れ戻されてしまう。それを見ているだけで助けられなかった典道。
「もしも、あのとき俺が…」なずなを救えなかった典道は、もどかしさからなずなが海で拾った不思議な玉を投げつける。すると、いつのまにか、連れ戻される前まで時間が巻き戻されていた…。何度も繰り返される一日の果てに、なずなと典道がたどり着く運命は? 花火があがるとき、恋の奇跡が起きる—

▼Information
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』
8月18日(金)全国東宝系にてロードショー
原作:岩井俊二
脚本:大根仁
総監督:新房昭之
声の出演:広瀬すず、菅田将暉、宮野真守/松たか子
主題歌:「打上花火」DAOKO×米津玄師(TOY'S FACTORY)
公式HP:http://uchiagehanabi.jp/


Text/Miiki Sugita

出典:She magizine

INFORMATION

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“She magazine”
http://she-mag.jp
 

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